コンセプトと基本的なモデリングがほぼ完成したので、スキン開発は次の段階に移ります。ここからはスキンの一部分だけに注目するのではなく、同時進行で複数の異なる作業を進めていきます。今日はイラオイのサウンドエフェクト、ビジュアルエフェクト、リコールアニメーションのここまでの開発状況についてお話しします。
ボイスオーバー処理
当初はイラオイのすべてのセリフに加工処理を行い、別の怒った声のレイヤーを元の声の上に重ねて、各セリフのキーワードとなる言葉の部分でフェードイン/アウトさせるつもりでした。
しかし、すべてのセリフはローカライズする必要があり、翻訳された内容やセリフの伝え方が言語によって変わる可能性があるために、このようなエフェクトのかけ方は難しいことがわかりました。
また、イラオイは全チャンピオンの中でも上位に入るくらいセリフの数が多いことから、全言語にローカライズした際の誤差の範囲が非常に大きく、さらには触手などの非常に複雑なキットを持っているために、フェイズイン/アウトの効果を使って怒った声のレイヤーを作成するという当初の計画は、開発規模を超えていました。さらに、強めの加工処理を行ったボイスオーバーはバトルキャスト イラオイのストーリーやビジュアルには違和感があります。
そのため、このアイデアは断念せざるを得ませんでした。その代わり、彼女のEのスキルのセリフ(60個以上存在します)に加工処理を行うことを考えています。これはディレイがかかった奇妙なサウンドで、彼女が頭の中に語りかけてくるような感じです。
スキルのサウンドエフェクトの作業はまだ始まっていませんが、次回の投稿までには皆さんにご紹介できるくらいには作業が進んでいるでしょう。
ビジュアルエフェクト
一般的に、私たちがビジュアルエフェクトを作成するときは何度も作り直すことになります。他の部門ならコンセプトアートを使って素早く見た目を確認することができますが、ビジュアルエフェクトは「動いてなんぼ」な部分があるため、コンセプトアートだけでは限界があります。最初に作成されるビジュアルエフェクトはとてもラフなもので、動かしたときにエフェクトがどのような感じに見えるかを確認するためのものです。
これは“かなり初期”に行われたロボットヘッドの通常エフェクトの外観テストです。これらのエフェクトは基本スキンが持つ“尾を引く”感覚を表現して、さらにバトルキャストのビジュアルを強化することが狙いでした。そこで、ロボットヘッドには脊柱が尾を引いているように見えるビジュアルエフェクトが使用されています。
二つ目のパスではビジュアルエフェクトに磨きをかけ、特徴を際立たせて色合いが洗練されています。エフェクトが他のエフェクト領域に接触したときにエッジが荒くなるといった細かなバグを取り除いたり、エフェクトの発生と消滅がスムーズに行われているかを確認するのが主な作業で、最終的な仕上げはもっと後になってから行います。
繰り返しになりますが、イラオイはゲーム内でも特に複雑なビジュアルエフェクトを持つチャンピオンです。ナサスのような標準的なチャンピオンであればパーティクルファイルの数は35個くらいですが、イラオイは触手やヒット時のエフェクト、引きずり出した魂、カウントダウンタイマー、ダンクのエフェクトなど、パーティカルファイル数は100個を超えており、新スキンではこれらすべてをアップデートする必要があります。そのため、ビジュアルエフェクトの作成には通常よりも長い時間がかかります。
リコールアニメーション
最初に行なわれたクリエイティブミーティングでは、新たなリコールのアイデアが複数提案されました。なかなかクレイジーなアイデアも出ましたが、他のエフェクトと干渉しないような、ある程度独立したエフェクトにしようと決めました。前回の投稿にあったジェットパックのアイデアがコミュニティーの間で好評だったので、リコールではこれを使うことに決めました。
さらに、ロボットヘッドはこのスキンの特徴なので、是非それを活かしたいと考えていました。このリコールはアクション性と面白みのバランスが良く、バトルキャストの雰囲気も上手く表現できています。ポーズを付けてチームに見せてみたところ、皆が気に入ったので、アニメーションの作業に移ることになりました。
愉快な雰囲気がありながらも、イラオイが芝刈り機のようにロボットヘッドを始動するところはバトルキャストのテーマにも合っています。
リリース前にアニメーションをより洗練するためにもう一度仕上げの作業を行いますが、そのときにはエンジンを始動するコードや背中に担ぐためのショルダーストラップを追加しているかもしれません。ここまでの作業は4、5日間かけて行われました。リコール時の飛んでいく部分のアニメーションを作成する様子を撮影したタイムラプス動画を用意したのでご覧ください。