これがいよいよリリース前最後のレジスタンス イラオイのアップデートとなります!まもなく彼女はPBEに登場し、その後ライブサーバーに登場します。
それでは始めましょう。
触手の鉄槌のデザイン
ビジュアルエフェクト(VFX)の作成時に考慮すべきことのひとつは、ゲームプレイにおける視認性です。スキルのビジュアルエフェクトはそれ自体がスキルの表現であることから、与えるダメージの範囲が明確に示されている必要があり、集団戦が見づらくなるような余計なエフェクトは避ける必要があります。その一方で私たちが求めるテーマがしっかりと表現されたデザインである必要があり、プレイヤーが一目見ただけで、スキルがそのチャンピオンのものであると認識できるものでなくてはいけません。
これらの点を考慮して、イラオイのQ、「触手の鉄槌」は以下のように開発されました。
コンセプトアートとキャラクターデザインに合わせて、レジスタンス イラオイのビジュアルエフェクトのメインカラーは赤色にする必要がありました。そこでまずは、基本スキンのQを赤色に変えてみました。基本スキンのクネクネした触手のパターンはテーマにそぐわないと感じたので、コンセプトアーティストがQの効果範囲を示すインジケーターとして機能するデカールを考えました。最初に作られたバージョンはこちらです。
これでも問題がないように見えますが、あまり“バトルキャストらしさ”(またはレジスタンスらしさ)は感じられません。そこで、他のバトルキャストのキャラクターのビジュアルエフェクトを見直して、その見た目を示したムードボードを作成し、これを参考にしてチーム内で各スキルにふさわしいビジュアルのアイデアを出し合いました。さらに、以前にバトルキャストスキンを手掛けていたビジュアルエフェクトアーティストにも声をかけて、エフェクトを“バトルキャストらしく”みせるカギについて聞いてみました。
そして彼女のスキルに煙や爆発のエフェクトを加え、さらに可能ならローテクな赤いホログラムも加えることに決めました。Qの2度目に作られたバージョンがこちらです。
これでかなりバトルキャストらしくなりました!
しかし、このバージョンのプレイテストを行ってみたところ、エフェクトがゴチャゴチャし過ぎで、与えるダメージに比べて強そうに見え過ぎる、というフィードバックが返ってきました。また、視認性の問題もありました。イラオイがアルティメットで5体の敵を攻撃すると、5本の触手が出現して同時に攻撃するので、何が起こっているのか非常にわかりづらくなっていました。
別の開発チームにいるイラオイメインのライアターにも意見を聞いてみたところ、「触手の鉄槌」のインジケーターが基本スキンのものよりも不透明なせいで避けられやすい、線が1ピクセル以下の幅で細すぎるためギザギザに表示されてしまう、というフィードバックもありました。
そこでエフェクトを洗練させるために、バトルキャストの世界観の雰囲気は維持しながらも、インジケーターをもっとシンプルにしてみました。
ゲームプレイの視認性を高めるために爆発のエフェクトは控えめにして漏れたオイルのエフェクトは削除し、リーグ・オブ・レジェンドの全VFXチームの助けを借りてエフェクトに磨きをかけ、「触手の鉄槌」の最終バージョンが完成しました。
触手のクロマとビジュアルエフェクト
通常はクロマでビジュアルエフェクトまで変更することはありませんが、イラオイは例外でした。イラオイのクロマについて考えたとき、固有スキルで発生した触手の色が、QやEで発生した触手の色と違っていると混乱することは明らかだったので、これらを一致させることにしました(ただし、ビジュアルエフェクトの大半は赤い色のままです)。
色覚多様性への対応
私たちが何かをデザインするときは、常に色覚多様性を考慮する必要があります。色覚多様性の中で一番多いのは赤と緑であり、このスキンは赤がビジュアルエフェクトのメインカラーとして使われていたので、これが大きな懸念となっていました。
これはイラオイの「魂の試練」の触手の最初のバージョンです。残念ながら、色覚多様性モードでテストすると触手の赤色とサモナーズリフトの草の緑色とを区別するのが非常に難しく、特定の色覚を持つプレイヤーにとってはそれが自分に向かって飛んできていることが判別しづらくなっていました。
また、人間の目はオブジェクトの一番明るい部分、またはコントラストが一番高い部分に注目する性質があります。イラオイの「魂の試練」のような飛翔物の先端は敵が避けるべき部分であることから、私たちはリーグ・オブ・レジェンドのVFXスタイルガイドに従い、そこに自然に目が向くようなデザインを心がけています。
一番右側の画像では触手全体がほぼ同じ明るさになっていますが、一番左側の画像では暗い色の金属と明るい赤色が隣り合っているため、真ん中あたりのコントラストが一番高くなっています。
触手に微妙な変更を加えて、高温で黄色く輝く核があるように見せることで、先端部分の明るさとコントラストを上昇させました。これによって特定の色覚を持つプレイヤーにとっても見えやすくなり、さらにゲームプレイにおいて重要な部分である、魂を引き出す先端部分に注目させることもできます。
では、そのイラオイのEを少しだけお見せしましょう。
最後に、Photoshopの複数の色覚多様性フィルターを使って特定の色覚を持つプレイヤーにスキンの各部分がどう見えているかをシミュレートしました。さらに、特定の色覚を持つライアターたち(Nerp1186がこれについてRedditのスレッドで語っていた(英語ページ)のを見た人がいるかもしれません)がスキンのビジュアルやビジュアルエフェクトに気になる部分がないかを確認しました。
品質保証(QA)
レジスタンス イラオイの動くパーツをすべて組み合わせたら、次はプレイテストです!
一週間に数回、私たちのチームは開発中のコンテンツのプレイテストを内部で行い、アートとゲームプレイの両面に関するフィードバックを出し合います。そこでは社内でそのチャンピオンをメインにしているライアターも招待します。彼らはチャンピオンのすべてを知り尽くしているので、非常に詳細なフィードバックを提供してくれるのです。
プレイテストが終わるとフィードバックが提供され、レジスタンス イラオイの作業を行っているチームがそれを検討しながらやるべきことのリストを作成します。
プレイテストと同時進行でフォーマルなテストも行われます。ここではQAチームが開発者たちと共同で、このスキンで変更された部分をまとめたデザインドキュメントを作成します。こうしておけば、テスト時にどこに注目しておくべきかや、デザインの意図が明確になります。
プレイテストとは異なり、フォーマルなテストでは「触手の鉄槌にはテーマにあったビジュアルエフェクトが使われているか?」から「ルルがイラオイにポリモーフするとなにか問題が起こるか?(ルルのポリモーフでは、大抵の場合なにか起こります)」といったことまで、様々な事柄を網羅した長いリストを基にテストを行います。
スキン開発の最後には、テスト中に記録されたバグの修正に取りかかります。バグをブロッカー(ゲームがクラッシュするような深刻なもの)から些細なもの(モデルの一部が少しクリッピングしているなど)まで種類に応じて分類し、取り組むべき対象の優先順位を決めます。この規模のスキンならバグの数は平均して30個ほどですが、たとえばエレメンタリスト ラックスには500 個のバグが存在していました。
すでにいくつかのバグが見つかっていて、現在はその修正作業中です。開発中によくあるバグは、ビジュアルエフェクトが複数のアニメーションで表示されてしまうというものです。
リコール終了時のアニメーションの触手が誤った場所に表示されています。
レジスタンス イラオイはまもなくPBEに登場しますので、ご注目ください!PBEのフィードバック用スレッドはこちら(英語ページ)です。スキンの開発中も、皆さんからたくさんの貴重なご意見が寄せられました。あともう少しですので、どうか最後までお付き合いください。
それでは、PBEでお会いしましょう。レジスタンスはあなたという同志を必要としています!
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