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ちび魔トリスターナ:スプラッシュアートとクロマ

ちび魔トリスターナのスプラッシュアートとクロマの最新情報をお届けします!

前回に引き続き、ちび魔トリスターナの制作状況をお知らせします。この連載も残すところあと2回となりましたが、今回はクロマの進捗と、スプラッシュアートの制作手順についてお伝えします。今週よりトリスターナはPBE(パブリックベータ環境)でお披露目していることもあり、最終回となる次回の記事では、主にスキン開発の最終工程についてお話しします。また、スプラッシュアートのタイムラスプ動画も併せてお見せする予定です。

スプラッシュアートとク

Jennifer Wuestling(イラストレーター):こんにちは、ちび魔トリスターナのスプラッシュアートを担当している、イラストレーターのJenniferです。第一弾の記事でトリスターナのモノクロサムネイル画像をお見せしてから様々な作業が進められましたが、まずはおさらいも兼ねて初期のスケッチから見てみましょう。

チームがこのデザインで行くと決めたあと、私はそのデザインに対してカラーバリエーションをいくつか作りました。これはトリスターナの背景として、どんなムードや配色がマッチするかを確認するためのものです。今回は、彼女の髪や炎の視覚効果の「冷たい青い色」と鮮やかなコントラストを成す「暖色系の色使い」が合うだろう、という意見ですぐに一致しました。

この画像をきれいに整え、細かい部分にまで色づけを行っていく前に、まずはサムネイルのクオリティーを高め、問題点を解決してしまいます。画像のサイズが小さい時点で調整するほうが、楽で時間もかからないからです。構図やライティング、体の構造、データ値などは、この時点でフィックス(確定)していきます。そうすることでサイズの小さいサムネイルで見たときに、最終的なスプラッシュのイメージに近づけていくのです。私たちはこの段階を「グリーンライト(青信号)段階」と読んでいます。

初期チェック通過済みのグリーンライト版(テキスト付き)

チームからゴーサインが出ると、描画に着手します。画像を細かく確認し、肌や服、ツノや髪の毛などの様々な要素を「マスク」して、別々のレイヤーへと分割します。その際、レイヤーの数を減らしてわかりやすくするために、隣接したり重なったりしていない要素を同じレイヤーにまとめます。ド派手な色はどのレイヤーに含まれているのかを示しており、例えば青色になっている手、ツノ、服はどれも同じレイヤーにあります。

ちび魔トリスターナのマスク(レイヤー)
マスク処理後のトリスターナ。背景レイヤーは非表示

チームに所属するアーティストの誰もがこういう方法で作業するわけではなく、もっと後の工程でレイヤー分けする人もいます。ただ、一般的には要素をレイヤーに置くことで、他の部分に影響を与えることなく要素を移動できるという利点があります。

私の場合、細部の調整と余計な部分の整理をする際は、初めに全体をざっくりと仕上げるために、大きな部分から始めて徐々に細部へと移っていきます。その後、さらに細かいディテールに手をいれていくのですが、ツノのへこみや傷、そばかす、ジャケットのジッパー、さらに空中の火花や上空から降り注く金色の光といった視覚効果のような特に細かいディテールは、最終段階で描き込みます。

スプラッシュアートの制作工程は4週間から6週間にも及ぶため、どこを改善していくべきかを見失いがちです。そうした状況を避けるために、チームでは毎日メンバー同士で評価ミーティングを行います。私の場合は、その会議の場で週に1度か2度チームメンバーからの意見を求めるようにしています。実際、そうしたフィードバックには役立つものが多く、ひとつの作品を延々と描き続けている本人では気づけない問題点を指摘してくれることもあるのです。またときには、お互いの作品に赤入れをすることもあります。言葉で説明するよりも分かりやすいからです。下の実際の赤入れの例では、同じくイラストレーターであるAlvin Leeが、王座と輪になったティーモたちを台形に配置し直すことで、アオリのパースをより効果的に見せるように調整してくれました。

スキンのスプラッシュアートの作業がどのように行われているかについてご理解いただけたでしょうか。次回のアップデートではその工程全体を収録した動画を公開します。ご期待ください!

ちび魔トリスターナのスプラッシュアート最終稿

レインボー化作戦

Alexia “Riot Lexical” Gao(プロダクトマネージャー):スキンのクロマ制作は、コンセプトが決まり次第、スキンの開発作業と並行して始めます。まずはクロマのアイデアスケッチ作りから着手するのですが、その際、ちび魔トリスターナのコンセプトと最初に決めた3つの方針を再度確認します。クロマは対象スキンのカスタマイズの選択肢を増やすためのものであり、まったく別のスキンを作り上げるためのものではありません。したがって、各クロマにはそれぞれ異なる雰囲気を与えながらも、同時にこの3つの方針に沿ったものにする必要があるのです。

ちび魔トリスターナについて我々が立てた方針はこちらです。

  • かわいらしく、そして悪魔的。いわゆる“エッジィ”ではない
  • ちび悪魔ティーモの右腕となるヨードル
  • 激しい性格をもちつつ、おちゃめなところもある

クロマ製作では、この方針やその一部をさらに広げられないかを検討していくことになります。ここが一番楽しい作業で、この時点では制約を設けることはせず、自由にアイデアを模索していきます。たとえば、アツイ悪魔のトリスターナはどうなのか?逆に氷のようにクールなのは?シャドウアイルの悪魔トリスターナはアリなのか?あるいはカリウムを十分に摂らない者に天罰を下すバナナ悪魔トリスターナは?…などなど。最後のものは冗談ですが、気に入ったそれぞれのクロマ案に対して参考資料を探し、ムードボード(コンセプトコラージュ)を作り上げます。その後アイデアを色ごとに整理し、これを元にコンセプトアーティストが様々なデザインのバリエーションを製作していくのです。

通常はベストなものを選べるように8~10種類のデザインを入れたカタログを作っておき、それぞれのデザインをチーム全体で評価していきます。そのとき、場合によっては着せ替え遊びのように、別のコンセプトの要素を入れ替えたりすることもあります。また、他のトリスターナのスキンと並べて比較し、すでに使われているカラーパレットがないかどうかを調べます。

ちび魔トリスターナの最終稿間近のクロマコンセプト

このとき、ベーススキンの方は仕上げの微調整をしている段階です。クロマにも同じ調整を施す必要があるため、ここでの変更作業は念入りに確認しながら行います。クロマのコンセプトが決定したら、各クロマのオレンジの皮をペイントして、命を吹き込んでいきます。基本的にはこの「皮」に描き込まれた色とデザインを変更していくわけです。この「皮」とはスキンのテクスチャーのことで、スキンの他の要素とは区別されています。

すべてのクロマが完成したら、今度はゲームに組み込んで様子を見ます。この仕上げの段階では、細かい修正とレビューを繰り返します。このプロセスは、PBEでの公開終了までみなさんから頂くフィードバックに対応し、チームがクロマのクオリティーに満足するまで続けられます。スキン同様、完璧なものにしようとすれば永遠に終わらないため、この段階では追加作業の量とそれによる効果のバランスを考える必要があります。「完璧さ」を計る数値なんてものはありませんし、チェックリストも存在しませんので、PBE期間中のプレイヤーのみなさんの意見を基にした「勘」により決めていくのです。

最終的には、個々のクロマは他とはひと味違うものにすべきだと考えています。そうすることで、スキンを持っている人が試合ごとに好みの個性を選んで表現することができるからです。クオリティを高めるべくベストを尽くしましたので、完成したクロマがみなさんに気に入ってもらえることを祈っています。

いざ、PBEへ!

Janelle “Riot Stellari” Jimenez(プロダクトマネージャー):さて、ここまでの話をお読みくださった皆さんはこう考えているのではないでしょうか?「待って、このスキンってもう出来上がってるんじゃないの?」と。はい、もう出来上がっていますよ。スキンとしては、現段階でほぼ公開可能な状態になっています。アーティストや完璧主義な方ならおわかりになるかと思いますが、何かを仕上げて「完璧」な状態にしようと思ったら、いつまででも時間をかけることができてしまいます。そして「永遠にリリースされない」ということになりがちです。プロダクトリード兼プロデューサーとしての私の仕事は、チームが次の仕事に進めるように、「これでこのスキンは完成!」と宣言することにあります。簡単そうに聞こえるかもしれませんが、やる気満々のチームにそれを伝えるのは難しいもので、「よし、そろそろ“本当に”筆を置いてね」と言われなければならないこともしばしばあります。

ちび魔トリスターナのスキンに関しては、約2週間前に公開可能な状態になったと考え、チームは別のプロジェクトへと移行しています。次のステップは、このスキンをPBEにリリースし、そこでこれまでは見つけることができなかたバグをさらったり、気づかなかったスプラッシュとモデルの整合性の問題を修正したり、プレイヤーのみなさんからのフィードバックに耳を傾けたりしていきます。うまくいけば、あとは本当にマイナーなバグや調整が残るのみになっているはずです。

最終回となる次回は、どのようなPBEのフィードバックが最終的なスキンに盛り込まれたか(あるいは盛り込まれなかったか)を、理由と併せてお伝えします。また、我々が「結果」と「チームの健全性」をどのように評価しているかについてもご説明します。そして、スプラッシュアートのイラスト制作過程を捉えたタイムラスプ動画もお見せします。今回もお読みくださり、ありがとうございました。また2週間後にお会いしましょう!

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