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/dev: ランダムミッド変更のまとめ

ハウリングアビスに引き継がれる変更点と、撤廃される変更点、そしてその理由について。

Riot_Mortによる

先月お届けしたNEXUSの記事では、ミニイベント「ビルジウォーター再び」で皆さんに触れてもらうことになるランダムミッドの試験的な変更内容についてご紹介しました。そのイベントも終了した今、それぞれの変更がどのようにゲームに影響を及ぼしたのか、そして皆さんのフィードバックや得られたデータを元にどの変更がハウリングアビスに引き継がれることになったのか、お話ししたいと思います。

不採用となった変更点

チャンピオンバン

バン機能の撤廃についてはとても難しい判断で、社内でも多くの議論が交わされました。バン機能は、特にどうしても相手にしたくないチャンピオン1体を試合から排除できるようにすることでプレイヤーに満足感を与え、イライラを鎮めてくれる機能です。今回ハウリングアビスでも採用されることとなったバランス調整が行われる以前は、“強いにも程がある”と言いたくなるようなチャンピオンが一定数存在したため、そうした効果は尚更強く感じられていました。

ですが、この機能には副作用も存在しました。ランダムミッドはかねてより、様々なチャンピオンを使ってもう少し気軽に遊べるよう、競技性が低めに設定されていたモードでした。しかし、実装されたバン機能がほぼ必ず特定の同じチャンピオンを除外するのに使われたために、結果として遊べるチャンピオンの幅が狭まってしまったのです。完璧なゲームバランスは求めず、ただ単にバンの対象となっていたチャンピオンを遊びたかっただけのプレイヤーにとっては、そのチャンピオンをプレイするチャンスは一生巡ってこないかのように感じられていました。今回試した変更点は“皆さんにとってのランダムミッドの存在意義”を根本から変えることを目的としたものではありません。しかしバン機能はその存在意義を変えるどころか、ほぼ空洞化させてしまっていたのです。また、ゲーム開始までに30秒追加でかかるようになるというのは、手早く遊べるモードにしたいという私たちの意図に反していました。

以上のことから、私たちは現状、バン機能は不採用とすべきだと判断しました。バンの対象となっていたチャンピオンの多く(ブランド、ベイガー、ラックス)には既にバランス調整が行われたので、対戦してもフェアに感じられるようになっているはずです。プレイヤーの皆さんにはバランス調整後のランダムミッドをしばらく遊んでもらい、こうしたバンの常連だったチャンピオンたちが未だに強すぎるかどうか、確認をお願いしたいと思います。

また、バン機能を撤廃することで、今回採用されることになった変更(チャンピオンバランス、ルーンの調整、アンチポークシステムなど)がランダムミッドに及ぼす長期的な影響を、より正確に測れるようになります。これから数ヶ月の間にこうした変更がランダムミッドをどう変えていくのか——その長期的な影響の全体像がもう少し見えるようになれば、バン機能の再実装も検討できるでしょう。ですがとりあえずのところは、この機能の撤廃が正しい選択だと考えています。

エクスペリメンタル(実験的)アイテム:船乗りの復讐とゴーストウォーカー

ランダムミッドで2回のミニイベントを終えた今、私たちはゲームモードに短期的にひねりを加える手段として、新アイテムの追加はとても有効だと確信しています。例えば「船乗りの復讐」と「ゴーストウォーカー」はブッチャーズブリッジという舞台に相応しい、イベント中のランダムミッドと普段のハウリングアビスとの違いを明確にしてくれるアイテムになっていました。だからといってこうしたアイテムを通常のゲームモードに実装してしまうと、長期的なゲームバランスに悪影響を及ぼすことが予想されます。

「ゴーストウォーカー」については、使用者がどこにいるのかよりはっきりと分かるように、かなりの改善が必要になるでしょう。「船乗りの復讐」の方は、クレッドやシャコなど、特定のチャンピオンと組み合わさった際のおかしな挙動の数々を修正しなくてはなりません。とりあえず現状としては、これらはレギュラーアイテムにはなりませんが、今後のイベントで再登場する可能性はあると思います。

エクスペリメンタルサモナースペル:バックトラック

「バックトラック」は近接(メレー)チャンピオンに対し、“エンゲージ(戦いを始めるために相手の中に飛び込むといったプレイ)をした後、すぐに戦いから離脱する”という選択肢を与えることを目的として作られたものでした。そしてその想定通りに、マルファイト、ジャーヴァンIV、タロンといったチャンピオンにこのサモナースペルは活用され、ガレンやドクター・ムンドといった高い自動回復力を持つチャンピオンたちにも、離脱して体力が全回復するまで待つためなどに使われることとなりました。

しかしそれと同時に、既に強い遠隔(レンジド)チャンピオンたちに、さらに強力な回避・防御手段を与えたくないとも考えていました。一部のチャンピオンではあまり効力を発揮できていなかったものの、コグ=マウやブランドといった遠隔チャンピオンでは、「バックトラック」は最も高い勝率を誇るサモナースペルとなってしまっていました。

チャンピオンのサモナースペル別の勝率

よって、今回はこのサモナースペルを残さないことに決めました。今後「バックトラック」の再実装を検討することがあれば、遠隔チャンピオンに対しては「バリア」と似たような効果を発揮し、“離脱”能力は近接チャンピオンにのみ適用されるような別の形での修正を試みることになるはずです。

採用される変更

ルーンの調整

ルーンへの変更は、かなりの成果を上げたと言っていいでしょう。「凱旋」も「冷静沈着」も必須ルーンではなくなり、「魔法の靴」については「凱旋」よりもゴールド効率がいいかもしれないという説まで論じられるようになりました。同様に「追火」についても、試合時間が21分よりも長くなった場合は「強まる嵐」の方が強いと言えるようになっています!

変更後の環境における最適ルーン構成が確立されるまではまだ時間がかかると予想しているので、皆さんがいろいろと試せるよう、しばらくは様子を見守っていくつもりです。そして必要に応じて、これから先も都度調整を行っていきます。

チャンピオンバランス

プレイヤーから長いこと要望があったランダムミッドにおけるチャンピオンバランス調整は「ゲームモードの在り方とメタを損ねることなく、チャンピオン選択画面の時点で試合の勝敗が決してしまわないようにする」という、具体的な目的のもとに行われたものでした。つまり、ソナやジグスといったチャンピオンをランダムミッド最強の一角から引きずり降ろすことなく、以前ほど試合の流れを決定付けることはできないようにする、ということです。

では、変更による成果はちゃんと出ていたのでしょうか?以下のグラフはパッチ9.6と9.7における、勝率ごとのチャンピオンの数を示したものです。

ご覧の通り、成果はしっかりと出ていました!チャンピオンの勝率の幅が32~67%から43~57%に縮まったことは、バランスがかなり改善されたことを示していると考えていいでしょう。ティーモやソナ、ジグスといったチャンピオンは依然としてランダムミッドで最強レベルではあるものの、上手く立ち回ったり、きちんとしたチーム構成で挑んだりできれば、相手にしてもちゃんと勝つことができるようになったのです!

今回手にしたバランス調整の取っ掛かりを元に、今後はもう少し頻繁にチャンピオンバランスの調整を行っていきます。毎パッチ行うことはお約束できませんが、それでもこれから先、パッチノートにランダムミッドのバランス調整の項目がときおり登場するようになるのは間違いありません。こちらのコミュニティー・ボードの投稿(訳注:前回の調整はパッチノート 9.7に記載されています)にも更新を行い、その時々のチャンピオンバランスについての最新情報を逐次共有していく予定です。

パッチ9.8ではさらに数点のマイナーなバランス調整を行っていますが、これでしばらくはランダムミッドに手を加える必要はなくなるでしょう。

ポークダメージ低減システム

この変更は、相手チームにひたすらポークされ続ける状況の辛さを軽減すべく導入された変更でした。一方的にポークし続けられるチャンピオンは多数存在しますが、ロード画面で相手チームにポークを得意とするチャンピオンが5体いた時点で試合が“終わっている”といったケースを無くしたいと考えていました。

これまでのデータを見る限り、ポークダメージ低減システム(とチャンピオンのバランス調整)により状況はかなり改善されているようですので、ランダムミッドにおける恒常要素にすることを決定しました。ただし、これまでの計算方法では、ダメージが発生した時点で距離の算出が行われていたため、スキルを使って後ろに下がるとダメージ軽減対象となるケースが多々存在していました。これに対処すべく、軽減の対象となる距離を延ばすことにしました。これからは距離9001000離れたチャンピオンからのダメージが15%軽減されるようになります(ただしアルティメットスキルや継続ダメージは適用外です)。

ゲーム調整:ゲームを長引かせないために

これらの変更は、試合を全般的に短くすることを目的として行われたものではありません。何もしなくても早く決着が付く試合を、それ以上早く終わらせる必要はありません。ここでの狙いは25分以上続く試合の時間短縮と、そうした試合の決着が付きやすいようにすることでした。その観点から言って、変更は狙い通りの効果を出すことに成功したと言えるでしょう。短さの順で試合を見た場合、上位50%の試合(短い試合)の長さはイベントの前と後でほぼ変わらなかった一方、下位10%の試合(長い試合)の長さは大幅に短縮されていました。

ただ、これ自体は大きな成功ではあるものの、あまりにも試合時間が短縮されすぎたとも感じています。ですので、変更の内容自体は維持しながら数値をいくつか調整することにしました。

  • 試合開始から15:00まではミニオンウェーブが通常どおり25秒の間隔で出撃します。15:00を過ぎると出撃間隔が一定割合で短縮されていき、上限に達する25:00の時点では15秒間隔で出撃するようになります。(変更なし)
  • 試合開始から15:00まではミニオンの移動速度は通常どおり325です。15:00を過ぎると1分ごとにミニオンの移動速度が上昇していき、上限に達する20:0025:00の時点では425になります。(移動速度の上昇ペースが緩やかになりました)
  • 試合開始から15:00まではチャンピオンは建造物に10%0%の追加ダメージを与えます。15:00を過ぎるとこの値が一定割合で増加していき、上限に達する25:00の時点では建造物に30%15%の追加ダメージを与えます。(序盤のタワーに対する追加ダメージを削除し、終盤での追加ダメージを半減させました)

「ワーモグアーマー」への変更

そして最後に、「ワーモグ」についてです。このアイテムに行った変更は、見事な成果を収めました——以前ほどの強さはないものの、その継続的な体力回復能力を活用できるチャンピオンにとっては、未だに現役のチョイスとなっています。ワーモグソラカのような一風変わったビルドもまだ十分に有効ですが、常にチャンピオンの体力を満タンに保つようなことはなくなり、対戦相手が無力感で満たされるようなこともなくなりました。よって新しいワーモグは、引き続きランダムミッドに登場します!

 


報告は以上です。皆さんがランダムミッドミニイベントを楽しんで下さったこと、そしてこれらの変更によりランダムミッドがより楽しいゲームモードになったことを願っています。ご感想もお待ちしておりますので、ぜひお寄せください。それでは、また次回お会いしましょう。引き続きハウリングアビスをお楽しみください!

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