こんにちは、ライアットミュージックチーム所属のProtoShredanoidです。今回も我らがチームから楽譜や音楽にまつわる変な開発ブログをお届けするべく参上しました。ギター中心の楽曲草稿や音楽制作現場の撮り下ろし動画を交えつつ、インスピレーションに導かれながら楽曲を完成させていくという極めて個人的な「作曲」というプロセスについてお話していきます。
インスピレーションは予想外のタイミングで、さまざまな形で姿を表します。最初の「種」は夢やコンサート、映画、芸術作品など複雑で深い対象から生じることもあれば、蛇口から滴る水滴のリズムやコオロギの鳴き声、誰かのちょっと変わった笑い方、友人との会話、あるいはユニバースそのものなど、実にシンプルでもあり得ます。文字通りの意味で、何でもインスピレーションになりうるのです!(ちょっと恥ずかしいですが今挙げた例はすべて私のインスピレーションになったことがあります)
そうして生まれたインスピレーションの種には、水をやり、育てなければなりません。もしこのブログで何か有用な知識が示せるとすれば、それは「自分から生まれたインスピレーションを過小評価するな」ということになるでしょう。それがどんなものであれ、しっかりと世話をし、花開かせる手伝いをしましょう。私の場合、インスピレーションはギターで掴む(そして表現する)ことが多いと思います。そうして生まれてきたのが楽曲のひとつが次のものです。
エクリプス レオナ
この楽曲はギターで奏でた非常にシンプルなパターンから生まれました。
エクリプスレオナ、ギターイントロパターン:
この最初の姿――あるいは「種」と呼ぶべきでしょうか――は強く私に響きました。まずロ長調(Bメジャー)とオープンコードのBの音色はレオナにピッタリの明るい雰囲気を醸し出していました。ロ長調は一般的にとてもシャープで明るいものと考えられており、個人的には飽和した明るい黄色のように聞こえます(「音色と色」というテーマで語りだすとそれだけでブログが書けてしまいそうです…!)。
さて、これで良い感じのベースができ、当初のインスピレーションを芽吹かせることができました。続いては、レオナを象徴するような音響的個性を作っていくために楽器を決めていきます(ようやく顔を出した小さな「芽」を大木へと育てていくフェーズです)。
私の主観ですが、ハングドラムという楽器にはある種スピリチュアルな響きが宿っていると思っています。これもヒッピーやドレッドヘアのクールな人達が演奏している映像を見てきたせいかもしれませんし、私だけがそう思っているのかもしれませんが…。いずれにしても、霊峰ターゴンのソラリがメロディックなハングドラム的楽器を通じて宇宙や“神髄”と繋がるというのはイメージしやすいのではないかと思います。またハングドラムの音色には金属的な響きもあり、これはレオナの装備する盾や鎧とマッチするとも感じました。加えて、これまで霊峰ターゴンの楽曲ではガラス的な響きをよく使用していましたが、レオナは紛うことなきタンクであり、重量感と力強さに満ちたハングドラムの音色のほうがずっとマッチしていると感じたことも決断材料となりました。
エクリプスレオナ、ハングドラムイントロパターン:
続いては、ここまで作ってきたパターンにピアノとハープで高音域の清らかな音色を重ねることで宇宙との繋がり(なんと言っても「エクリプス レオナ」ですからね)を強め、レオナの太陽の力というファンタジー世界の魔法要素を有機的に組み込んでいきました。
エクリプスレオナ:
これで楽曲もそれらしい響きになってきました(先程のたとえで言えば、樹木らしく育ってきました)。ここからインスピレーションはぐんぐんと広がりを見せていきます。当初の短い音楽スケッチはメロディーのハミング(完成版ではLisa Thorn氏が担当、彼女はオリジナル版ダイアナのテーマ曲も歌ってくれています)につながるインスピレーションとなり、そこにリズムが重なり、大編成の金管楽器向け編曲が入り、最終的に伝統的オーケストラ曲へと成長。拡大を続けるインスピレーションはやがて私たちを新たな楽節にまで導き、楽曲の後半部分である「月の力」までも輝かせていきます。
結局のところ、「最初のインスピレーションの種」を信じて育むことができなければ、この楽曲はなにひとつ完成しなかったでしょう。もちろんこの「インスピレーションを追い続けるプロセス」は人によって異なりますが、そこに通底するメッセージは共通していると確信しています。すなわち「自分から生まれたインスピレーションを過小評価するな」ということです。
さて、それでは楽譜紹介の時間です。今回は初めての試みとして、ギターを演奏する方向けのちょっとしたプレゼントとしてタブ譜を用意してみました。またちょうどホリデーシーズン真っ只中なので、スノーダウン2017についてはオーケストラ用の完全な楽譜を用意しています。さらに今回はインスピレーションをテーマにした投稿だったので、短いながらも各楽曲の初期インスピレーションも公開します。
もちろん来年も、楽譜やライアットにおける楽曲製作への取り組みについてもっと情報を公開してきますよ。それではみなさん、ハッピーホリデー!
オデッセイ - 宇宙の冒険へようこそ
宇宙の冒険へようこそ(ギタータブ譜のダウンロードはこちらをクリック)
オデッセイのメインテーマ曲製作時、チームはブルース調・インディーガレージロック調のクールさを生み出すことを目標にしていました。最終的にノイジーかつ生演奏感あふれるロックギターリフが楽曲に躍動感を与えています。この曲はファズペダルを思いっきり効かせてどうぞ!
オデッセイメインギターリフ:
プールパーティー2013
プールパーティ2013(ギタータブ譜のダウンロードはこちらをクリック)
プールパーティのテーマ曲の場合、目標は2曲ともシンプルでした。楽しさ満載、ちょっとゆったり、そこにサモナーズリフトの危険さと激しさをひとつまみ加えること。テレキャスターを繋いでザクッとリバーブを効かせたら、あとは最高の波に酔いしれるだけ!余談ですがプールパーティのテーマ曲、実は2曲ともライアターのひねくれ者で結成されたバンドによる演奏です。
プールパーティー2018
プールパーティ2018(ギタータブ譜のダウンロードはこちらをクリック)
プールパーティのテーマ曲の場合、目標は2曲ともシンプルでした。楽しさ満載、ちょっとゆったり、そこにサモナーズリフトの危険さと激しさをひとつまみ加えること。テレキャスターを繋いでザクッとリバーブを効かせたら、あとは最高の波に酔いしれるだけ!余談ですがプールパーティのテーマ曲、実は2曲ともライアターのひねくれ者で結成されたバンドによる演奏です。
エイトロックス
エイトロックス(ギタータブ譜のダウンロードはこちらをクリック)
ダークな古代の匂いをまとった儀式的オーケストラメタル曲。音に微妙なタメや突っ込みを持たせつつもシンコペーションのリズムを刻み、そこにあまり耳なじみのない和音の組み合わせ(音楽理論マニア向けに解説すると、Abハーモニックマイナーキーの第2音の派生であるBbロクリアンナチュラル6)を使用して、古代ダーキンの暴剣にふさわしい音を作り出しています。収録に際しては、8弦ギターをFに半音下げチューニングして使用しています。
\m/ ロックンロール!
スノーダウン2017
スノーダウン2017(楽譜のダウンロードはこちらをクリック)
もうすぐホリデーシーズン。昨年のスノーダウンテーマ曲の完全版楽譜をお届けするのがブログの締めくくりにはピッタリかなと思い掲載しました。スノーダウン2017のテーマは「バッドサンタ」なので、楽曲も「ちょっとやんちゃだけどいいヤツ」という感じになっています。この曲も最初はシンプルなギターメロディーとして生まれ、やがてオーケストラ曲へと育っていったものです。