今週はゾーイのデザイン、意外なコンボ、エンジニアの採用についてお話しします。
ゾーイは新しいタイプのキャラクターデザインだと思います(カートゥーンっぽい感じ)。これには何か理由があるのですか?
ゾーイはLoLのチャンピオンたちの中でも明らかに目立っていますが、これには二つの理由があると思います。まず彼女の頭と目の大きさの比率、そしてとてもカートゥーンっぽいアニメーションです。頭の大きさについては、ゾーイを子供らしく見せるためです。通常の大きさにすると、テスト時に多くの人がゾーイは子供ではなくジンクスやラックスに近い年齢だと感じたので、アニーと同様にはっきり子供らしく見える大きさにしました。
アニメーションに関しては、彼女が「トリックスターの神」であるようにゲーム内で感じてもらうことが狙いでした。ウィキペディアトリックスターの項目にはこう書かれています。
“トリックスターは物理的および社会的なルールを破る。トリックスターは…社会規範や自然の秩序に反し、ふざけて通常の生活を破壊したあと、新たな基盤の上に再構築する。
ルールを曲げる|破る場合は通常、いたずらや盗みの形を取る。トリックスターは狡猾または愚か者、もしくはその両方であり得る。トリックスターは権威に対して堂々と疑問を呈し、馬鹿にする。通常は男性キャラクターで、ルールを破り、自慢げで、人間に対しても神に対してもいたずらすることを好む”
ゾーイは一見すると人間ですが、実際は自分が楽しむために遊んでいる神である——というキャラクターにしようと考えました。彼女はルーンテラのルールを破り、チャンピオンのルールすら捻じ曲げる存在だと感じてもらいたかったのです。初期段階ではもっとクレイジーなアイデアも試していて、アルティメットスキルでゾーイがポータルからジェットコースターに乗って現れていましたが、これはさすがにやり過ぎだと感じてやめました。しかし最終的には真の「トリックスターの神」らしく、その音声からゲームプレイ、そしてアートにいたるまで、既存の枠組みを超えて、それを破り、捻じ曲げるような存在にしたいと考えました。
チャンピオンを開発する時、グラガスのEフラッシュやジャーヴァンⅣのEQフラッシュといったすぐには気付かないようなスキルやサモナースペルとの相互作用も考慮しているのですか?
すべてではありませんが、そういった多くの相互作用はバランス調整やスキルの奥深さのために事前に把握、検証されています。
ときに、意図的にそれらを前提とした開発を行う場合もあります。サモナースペル、アイテム、そしてスキルの意義は、そのチャンピオンのプレイの方法を変化させることにあります。一方、Eフラッシュなどの相互作用はスキルの性質を変えることになります。こういった変化の方が、単純にスキルを強化(主に魔力)するよりも本質的に面白くなります。
一方で、相互作用は内部テスト中に発見される場合もあります。内部テストに参加するほとんどのライアターは何年もプレイしているベテランプレイヤーなので、過去の事例からスキルセットを破綻させる可能性のある操作方法はだいたい把握できます。もし想定されていないものが見つかったとしても開発チームが原因を特定し、影響を与えているスキルのバランスを調整し、より面白く興味深いものにしています。
また、皆さんの発見に驚かされることもあります。これは特にチャンピオン同士の相互作用によるものが多いです。なぜなら単純にその数が多いからです(現在、5人のチャンピオンの組み合わせは約450億通りあります)。この場合、その相互作用を私たちがどう機能させたいか再評価する段階まで戻らないといけませんが、通常はプレイヤーが発見した戦術をそのまま活かす道を選んでいます。
何らかの相互作用を特定したら、次はそれを支持できるかどうか検討します。支持できないと判断した場合は、その相互作用を削除するか、調整を加えます。この判断はメリットとデメリットのバランスの分析に基づいて行われます。コンボを発動させるために必要なコスト(デメリット)と、そこで得られる効果(メリット)のバランスが取れているかどうか検証するのです。
たとえば「ボディスラム+フラッシュ」コンボはスキルの成功率を劇的に増加させます(メリット)。これは正直に言うと悪影響がある相互作用です。しかし、フラッシュのクールダウンが長くて頻繁には使えないこと(デメリット)を考慮すれば、このコンボは得られるパワーに対してバランスが取れているとも言えます。
フィドルの「クロウストーム+ゾーニャの砂時計」コンボはスキルに伴うリスクを大きく低下させます(メリット)が、ゾーニャの効果で動けなくなることから、逆に「クロウストーム」を敵に当てにくくなります(デメリット)。このような相互作用はメリットとデメリットがスキルの中に組み込まれているので、長期的にも健全なバランスが取れる面白い相互作用の典型だと言えます。
これに関して、最近の好例はゾーイです。私たちはスキルの成功率を高めるための「フラッシュ+詠唱スキル」(アリスターの「圧砕+フラッシュ」やアーリの「チャーム+フラッシュ」など)のコンボは支持しています。そこで、当初はゾーイのE – 「スリープバブル」にフラッシュを組み合わせるコンボも問題ないだろうと考えていましたが、彼女は他のチャンピオンに比べて6倍くらいフラッシュできるので、通常の理屈(フラッシュの長いクールダウンを差し出す代わりに攻撃の命中率を高めるというバランス)が通用しませんでした。残念ながら開発の最終段階でこの結論に達したので、洒落た対策を考える余地もなく——結局、彼女にはEフラッシュで確実に当てる以上の魅力的なプレイを見せてもらいたいと考え、Eの詠唱中はフラッシュできないようにすることを決めました。だって確実に当てられるなら、誰もわざわざリスクを冒して壁越しに狙おうとはしなくなりますよね?
これについては将来再度検討して、もっと人為的ではないやり方でフラッシュコンボを阻止するか、ゾーイがフラッシュEを頻繁に当てることが本当にバランスを破綻させるのか精査してみるつもりです――このようなことができるのは、継続的にアップデートを行えるゲームのメリットでもあります。
ライアットがプログラマーやエンジニアに求めるものは何ですか?
私たちは常にライアットの技術レベルを高めてくれるエンジニアを探しており、それにふさわしい人々を見つけるために重視している点がいくつかあります。まず、私たちは「T字型」のエンジニアを求めています。これはつまり、スキルの幅と深さの両方を重視するということです。ライアット内で使われる技術は頻繁に変化するので、進んでそれに適応して新たな技術を学び、新たなチームと協働して、プレイヤーが求めるゲームを届けるために自ら成長していけるエンジニアを評価します。次に、フィードバック志向の環境で活躍できるエンジニアを重視します(これはライアター全般にいえることでもあります)。私たちの企業文化を維持し、考えられる最高の技術を提供し、常にプレイヤーを中心に考えるためには、厳しいフィードバックであってもそれを他者に与え、同時に自らも受け入れることのできるエンジニアが必要です。
エンジニアに求められるそれ以外の要件は役割やチームごとに変わり、さらに日々変化しています。Mike Seaversのdebugging titlesのTech Blogシリーズ(英語ページ)ではエンジニアリング部門の成長評価の基準を見ることができますし、エンジニア採用ページ(英語ページ)には私たちがエンジニアの面接についてどう考えているのかが詳しく書かれています。
そして何よりも、私たちはプレイヤーを第一に考える情熱的なゲーマーを採用します。この考えに共感してくださるなら、脈アリです。
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