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/dev: チームファイト タクティクスとゲームデザインの柱

上達、楽しめる競技性、発見について。

Voltyによる

どうも!チームファイト タクティクスのリードゲームデザイナーを担当したVoltyです。ゲームデザイン部門初の開発ブログにようこそ。

チームファイト タクティクスはもうご覧になりましたか?これは今年前半に『Dota Auto Chess』が確立したオートバトルジャンルに私たちの解釈を加えたゲームモードです。今はただ皆さんに遊んでもらえる日が楽しみでなりません。このジャンルは人気を集め始めた頃からライアターの多くが「恋に落ちて」おり、同時に(皆さんの中にもそう考えた方がいらっしゃるかもしれませんが)LoLのマルチバースを舞台にして作ったらどんなゲームになるだろう?という気持ちがムクムクと沸き上がってきました。これはそんな気持ちが結実した結果とも言えるでしょう。お気に入りのチャンピオンをドラフトし、「特性」のシナジーについて思案し、アイテムを装備させ、戦闘に送り出す…どの要素にもできる限りの愛を込めました。プレイしたらぜひ感想を聞かせてくださいね。

チームファイト タクティクス(TFT)はとっつきやすさと深さを両立させたゲームになっています。今回はTFTを開発する上で大事にしてきた「ゲームデザインの3本柱」、上達楽しめる競技性発見についてお話していきたいと思います。

上達

スキルの上達はTFTを遊ぶ上で欠かせない魅力の一つであり、極めるべき「スキル」は多岐にわたります。対戦が初めてでも100回目でも何かを学び成長しているという感覚を必ず得られるようにしたい、というのが開発チーム全員の願いでしたから、開発中には色々な分野で上達を感じられるよう注意を払い、さらに各分野に多様な上達できる点を準備するようにしました。

知識: ドラフトで強力なチャンピオンを揃えたい、複雑かつ相互補完的な特性シナジーを作り出したい、最善のアイテムを選びたい…そういった要素を重視する方は、研究や分析を通じた各ゲーム要素の知識が武器になるでしょう。

柔軟性: 状況に合わせて臨機応変なプレイがしたい、ドラフトに上がってきたチャンピオンをきちんと見極めたい、眼の前の好機をしっかりとモノにしたい、そして構成を柔軟に構築したい…そんなプレイスタイルがお好みなら、ゲームのしくみを理解して自由な発想で最善手をひねり出す必要があります。つまり、柔軟性が問われるわけです。

運: 「リロール」ボタンには序盤に強力な構成を引けるかもしれないという魔力があるもの。リスクを背負ってでも連勝を重ねたい、あるいはコンボを完成させるためのアイテムを手に入れたい…そんな時に試されるのがの要素。強い引きと、そして引けなかった時にもうまく対応する力が肝になります。

洞察力: 対戦相手の行動を研究するのもひとつの手。TFTでは毎回戦局の理解度がモノを言います。その時点で使えるチャンピオンとそこから展開できる戦略をしっかりと把握し、同時に対戦相手の狙いを読み解く…。高い洞察力があればチャンピオンのドラフトでも相手の強みに対処するチームを構築することができます。

速さ: TFTは複雑なゲームであり、考えるべき内容はたくさんあります。そんな時、判断の速さはためらったり用心深く行動したりする相手から有利を得る武器になります。自信を持ってすばやく行動すれば、次の行動や計画を考える時間が取れます。

TFTのゲームデザインにあたっては、上記すべての要因においてプレイヤーが上達できるよう心がけました。どうプレイするかで各要因の重要性が変わり、結果的に自分のプレイスタイルが形成されていく設計です。また、それ以外の要因の重要性を下げることで上述の要因がより中心的な役割を果たすよう設計するのも重要だと考えました。ここで言う「上達」とはオートバトルというジャンルでの腕前についてですから、TFTでは卓越したクリック精度で300 CSを稼いだり、驚異の反応速度でフラッシュしてスキルショットを避けたり、チームメイトとスキルを打つタイミングを合わせたりすることで有利になるような構造になっていません。この方針を取れたことには非常に満足しています。

楽しめる競技性

さて、チームファイト タクティクスの独自性はどこにあるのでしょう?TFTは奥深く熱中度が高いだけでなく、「経験の共有」を行うゲームでもあります。骨太な競技性もその一面ですが、他方では対戦相手との交流といった楽しめる要素もまた重要です。競争ではあるものの楽しさに満ちていれば、対戦相手やゲームそのものに対して陽気な雰囲気が生まれてきます。真剣勝負であると同時にオートバトルジャンルの試合を共に楽しむ喜びも得られるということです。

TFTには「楽しめる競技性」というポイントを突き詰めるために実装された機能もいくつかあります。そのひとつが対戦相手のひとりとペアでマッチメイキングされるところです。TFTでは各ラウンドで対戦相手のひとりとペアになります。そしてあなたがチームを引き連れてポータルに吸い込まれる時、ペア相手も一緒に別のプレイヤーのアリーナへと飛んでいきます。飛んだ先では次のラウンドとなり、1度バトルを行って勝敗がつきます。

この機能のポイントは、あなたの戦う様子がペア相手と必ず共有されるというところにあります。つまりあなたのナーが敵を複数体吹き飛ばしてケネンのULTに巻き込む時、必ず誰かもその場面を観ているということです。そして敵チームを一掃して相手のライフを削る時、その重みもしっかりと感じることができるというわけです。

それからTFTのアバターとしてリトルレジェントを導入できることも楽しみな点のひとつです。とても個性豊かなリトルレジェンドたちは、アリーナに入った瞬間、あるいは対戦相手がアリーナに入ってきた瞬間に場を盛り上げてくれるでしょう。挨拶やダンスといったアニメーションが用意されるほか、リーグ・オブ・レジェンドのエモートも使用することができます。

そして私たちが「楽しめる競技性」を突き詰める上で特に重要な機能だと思っているのがドラフトラウンドです(プレイヤーの間では“carousel”「回転木馬」と呼ばれていました)。この機能では各プレイヤーのリトルレジェンドが一定期間ごとに一箇所に召喚されます。召喚先の小さな島には回転する円と、その上を回る10体のチャンピオンがいます。リトルレジェンドたちはしばらく移動できない状態ですが、この制限が解除されたらそれぞれ目当てのチャンピオンめがけて走り込んで確保します。クレイジーに聞こえるかもしれませんが…はい、結構クレイジーです!ここで登場するチャンピオンはアイテムを装備しているので、誰を、あるいは何を取るかの決断がより面白いものになっています。

ドラフトラウンドはプレイヤーにとって難しい決断を下す場であり、他プレイヤーと交流する場であり、競い合う心を刺激する場であり、そして戦略を練る場所でもあります。要するに、バカバカしく見える一方で非常に緻密な計算が求められる場でもあるのです。特にハイレベルな試合において実に様々な要因を考慮する必要が出てくるため、驚くほど複雑な計算が必要になります。取るべきはこのチャンピオンか、あるはあのアイテムか?他のプレイヤーが何をしてくるか予想できているか?そういったことを数秒という短い時間で考える必要があるわけです。

こちらについては以上です。この説明が私たちの考える「楽しめる競技性」のニュアンス、そしてその開発意図を説明する役割を果たしていれば幸いです。

発見とTFTの未来

今回最後のトピックはTFTに対する私たちの方針と今後についてです。

チームファイト タクティクスの初回プレイ時には50体のチャンピオンが登場します。これは扱いやすいテーマ数個を掘り下げつつ、オートバトルジャンルのゲームプレイをしっかりと確立するために決定した数字です。リーグ・オブ・レジェンドには現在144体(今後も増えていきます!)のチャンピオンがいますから、将来的に他の…あるいは自分のお気に入りのチャンピオンがTFTに登場するか疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。その答えは「私たちとしても今後TFTのチャンピオンを増やしていきたい」です。

チャンピオンの追加に際しては2つのステップを取ることを予定しています。最初のステップでは総チャンピオン数が60体になるまでチャンピオンを毎パッチ、あるいは2パッチごとに1~2体ずつ追加していきます。チャンピオンを徐々に追加していくことで、基礎となるゲームプレイがある状態で新しい選択肢や戦略を定期的に追加していけますし、戦術・戦略の研究や発見に割ける時間も長く取れるためです。また、既存のチャンピオンや特性から新たに追加するチャンピオンのアイデアが生まれてくることも期待できます。

2つめのステップではより刺激的に、「一度に多数のチャンピオンを追加」していきます。TFTにおける発見という要素は「余地がある」以上のもの、「存在意義」に近いものでなければなりません。TFTについて語る、配信を見る、攻略記事を読む、それらの行為すべてはゲームの上達につながるべき(しかも頻繁かつ大幅に上達すべき)だと考えます。大きな成長を実感する期間というのは楽しいものですし、新規追加による予測不能性や新たな可能性に対峙する感覚は極めて強力なものですから。

チャンピオンの追加はゲーム内で取られる戦略を刷新していくことを目指して徐々に行っていくつもりですが、どこかの時点でプレイヤーは同じ(あるいはかなり類似する)戦略が続いて飽きてくるでしょう。進め方を身体が覚えているビルドでプレイするようになり、メタの解析もほとんど完了してしまい、試合は同じことの繰り返しのように感じてくるはずです。

これに対し、新たな特性を持つ新チャンピオンの追加は研究の余地と発見を生み出します。つまり定期的に新チャンピオン(複数)のセット(チャンピオンと特性、使用スキルの組み合わせをリリースすることは、これに対する回答になると私たちは考えています。チームファイト タクティクスの開発目標は「有意な違いのあるゲームプレイやテーマのセットを提供し、新鮮味のある体験を届けること」です。もちろんTFTのルールやコンテンツの一部(アイテムなど)は維持されるので、ここで言う「新鮮味のある体験」とは過去に学び使ってきたセットがしっかりと活きることを前提としています。

私たちは皆さんが楽しいと思うこと・思わないことを知り、それを新しい改善のチャンスと捉え、仕事に生かしていくことを開発者として重視しています。本作においては、「セット」を通じてこれを実現したいと考えています。

筆を置く前に直前の内容に関連するお話をひとつ。本記事の始めでリーグ・オブ・レジェンドのマルチバースについて触れたのを覚えているでしょうか?現在リーグ・オブ・レジェンドには1000個近くのスキンが存在しています。私は、このクリエイティビティと多様性に満ちた各スキンのユニバースを掘り下げることで多数のテーマが見つかるのではないかと考えています。たとえば初期セットのヤスオは通常スキンの姿でスキル「抜刀」を使う「エグザイル ブレードマスター」ですが、将来的にはオデッセイ ヤスオスキンの姿でスキル「風殺の壁」を使う「オデッセイ リーバー」として登場する、ということもありえます。

今はローンチ用のセットを作りはじめた段階で、当面はサモナーズリフトでの姿や標準的なリーグ・オブ・レジェンド的の見た目に沿ったテーマを中心に開発していくことになるでしょう。しかし今後のセットではリーグ・オブ・レジェンドが擁するマルチバースにも触れ、スキンおよびスキンシリーズのテーマを活かした新しい特性も作っていくつもりです。私と同じくらいワクワクしてお待ちください!

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