Ask Riot

LoLやRiotに関する質問をお送りください。回答は日本時間の隔週金曜日に掲載されます。

質問を入力してください

エラーが発生しました。再度お試しください

ご質問ありがとうございました!

次の記事

/dev: マッチメイキング改善の取り組み

どこでもオプションや対戦待ち時間のデータをグラフ化し、2017年のマッチメイキングを振り返ります。

Riot Gamesサポートチームがゲーム開始前の裏側についてお話ししてきた本シリーズ。前回は担当ゲームデザイナーが皆さんから寄せられた質問にお答えしましたが、最終回となる今回はLoLのマッチメイキング改善のために私たちが取り組んできた内容についてお届けしたいと思います。

何度もお話ししていることではありますが、LoLのマッチメイキングでは3つの要素を重視しています。すなわち、フェアな試合を組むこと、プレイヤーができる限り第一希望のポジションを取れること、そして対戦待ち時間を短く維持することです。そこで今回は、過去2年にわたってマッチメイキングを改善するべく開発とリリースを重ねてきた私たちが収集したデータの一部を紹介したいと思います!

なお昨年は1年間を通じて、ほとんどのスキルレベルにおいて継続的にフェアなマッチメイキングを維持することができたので、今後はポジション選択と対戦待ち時間の点に注力していくつもりです。どちらについてもかなり酷い状態であるという声が届いていますから。この2点の改善は目下の課題であり、実際のところ昨年はほとんどこれら事項に対する解決策の開発に費やしました。


ポジション選択

 最初に取り上げるのはポジション選択です。どこでもオプションは、2016年にポジション選択とダイナミックキューを導入した際に生じた厳しい状況に対する最初の施策でした。しかしその結果、対戦待ち時間は大幅に短縮することはできたものの、「どこでもオプションの発動頻度が高すぎる」という意見が多く寄せられるようになりました。

この意見を踏まえ、私たちはどこでもオプションの発動率を改善する方法について模索し始めました。過去にもポジション選択機能を実現する上で「どこでもオプション」の存在が重要であることはお話しましたが、だからといって何も改善できないわけではありませんから。そして2017年、チームは第一希望のポジションが取れる確率を上げつつ、どこでもオプションの発動率を下げることに心血を注いで取り組みました。以下のグラフは北アメリカサーバーのデータですが、各地域でもおおむね同じパターンを示しています。

ポジション割り当て、全ポジション組み合わせ(北アメリカ、20161月~2018年)

(a) ポジション優先度の変更 – アルゴリズムに変更を加え、待ち時間を長くすることで第一希望ポジションが取れる確率を高めました。
(b) どこでもオプション導入 – 「どこでもオプション」を全プレイヤーに向けてリリースしました。
(c) どこでもオプション初回修正実施 – 第一希望ポジション割当率の設定を変更しました。
(d) どこでもオプション試験実施 – 最も有効なバージョンを特定するため、テストを複数回実施しました。 
(e) Kidnapping (誘拐)アルゴリズム導入 – チーム編成方法を変更しました。名前は邪悪っぽいですが別に危なくありません。
(f) Shuffling(シャッフル)アルゴリズム導入 – 第一希望ポジションの割当率をより高めるための施策でした。

昨年実施した一連の変更により、現在はどのポジションを希望しても割り当てられる確率は90%に達しているかと思います。上のグラフは第一希望、第二希望、「どこでもオプション」の割当率を示したものです。

ポジション選択を導入した当初は、第一希望をミッド、第二希望をサポートにすると、実際にミッドに行ける確率は10回に1回程度でした。これではあまり「第一希望」とは呼べません。本件については2016年はじめから、第二希望に割り当てられる確率が高くなる組み合わせ(ほとんどのサーバーでは第一希望ミッド、第二希望サポート)でも「安心して」サポートを選べるようにすることを目標に取り組み続けてきました。

ポジション割り当て、ミッド/サポート(北アメリカ、2016年1月~2018年)

(a) ポジション選択導入 – プレイヤーにとって第二希望サポートという選択は「サポート確定」とほぼ同義でした。システムの健全性は低下しました
(b) ポジション優先度導入 – この機能の導入で状況は一時的に改善、しかし結果的には健全性は再び悪化しました
(c) どこでもオプション導入 – どこでもオプションを導入し、より多くのプレイヤーがサポートに割り当てられるようになりました
(d) どこでもオプション初回修正実施 – 第一希望ポジション割当率を改善することを目指して設定を変更し、ミッド割当率が初めてサポート割当率を上回るようになりました
(e) どこでもオプション試験実施 – 最も有効なバージョンを特定するため、テストを複数回実施しました
(f) ザヤとラカンのリリース – ボットレーンにザヤ&ラカンコンビがデビュー。ラカンの人気により、第一希望ミッド・第二希望サポートのプレイヤーがミッドにいける確率が上昇しました(第一希望にサポートを選択するプレイヤーが増加したため。 #サポートメインの世界へようこそ)
(g) どこでもオプションテスト実施 – どこでもオプションの設定を変更しました
(h) Kidnapping (誘拐)アルゴリズム – チーム編成方法を変更しました。名前は邪悪っぽいですが別に危なくありません
(i) ゾーイのリリース – ゾーイをピックしたいプレイヤーが一時的に増加したため、ミッド割当率が低下しました。これは新チャンピオン登場時の一般的な傾向です。
(j) 2018シーズン開始 – つまり、今です。 

上のグラフは、最も難しい条件(第一希望ミッド、第二希望サポート)においてプレイヤーが第一希望、第二希望ポジション、どこでもオプションのそれぞれに割り当てられる確率を示したものです。これを取り上げたのは、「最悪の条件」で一定の成果が出せれば、それ以外のどんな条件(組み合わせ)であっても、ほとんどの場合第一希望ポジションに行ける、と判断して差し支えないだろうと考えたためです。


対戦待ち時間と「試合開始までの所要時間」

試合開始までの所要時間」については、2017年の間に何度か短縮する機会がありました。これは「マッチメイキング」をクリックした瞬間からロード画面が出るまでの時間で、チャンピオン選択画面、ドッジ、対戦待ち時間のすべてを考慮した指標です。8分かけてチャンピオン選択をしたのに、最後の最後で誰かにドッジされた時は本当にガッカリですからね。以下のグラフは、2017年のチャンピオン選択所要時間を示したものです。

チャンピオン選択の所要時間(全地域、2017年)

(a) 10バンシステムの導入6枠の交互バンから同時進行の10バンに移行したことで、チャンピオン選択の所要時間が30秒以上短縮されました.
(b) ドラフトモードにおける同時ピックの導入順時ピックから変更したことで、さらに所要時間が大きく短縮されました.

上記2件の変更以外にも、チャンピオン選択画面におけるビジュアルの改善を何度か実施し、「自分が操作すべきタイミングがいつか」が分かりやすくなるよう変更しました。これにより、(チャンピオンの確定忘れによる)意図しないドッジの発生回数は10回に1回から15回に1回まで減少しました。

続いては対戦待ち時間について。長い待ち時間が何度も続くのはつらいものです。私たちとしては、自分たちのチーム名“ゲットインゲーム(試合に入る)”の示すとおり、プレイヤーの皆さんに早くゲームに飛び込んで欲しいと思っています。2016年、最上位クラスのプレイヤーの一部は文字通り「何時間も」待たなければ試合に入ることができませんでした。これは良くありません。

対戦待ち時間(全地域、2017年)

(a) 最適演算用パーレンソリューション – これについては何も聞かないでください。
(b) ドッジ修正 – 一部の極端なケースで、ドッジしたプレイヤーがマッチメイキングから進めなくなる問題を修正しました。
(c) Kidnapping(誘拐)テスト開始 – 1ヶ月程度、Kidnapping構成を変更してみるテストを実施しました。
(d) Kidnapping(誘拐)テスト終了 – テストを終了して元に戻し、影響度を計測しました。
(e) Box(箱)アルゴリズム導入- ハードウェア構成に最適化されたコードを用いた街時間短縮施策。犯人はこの中にいる! 
(f) Kidnapping(誘拐)アルゴリズム導入 – 前のグラフと同様の修正。試合開始までの時間も改善されました。

2017年初頭と比較すると、現在の待ち時間は全体的に大きく短縮されていると感じられるのではないでしょうか。最悪のケース(高MMR帯の一部例外を除く)でも4分前後に収まっています。対戦待ち時間をトイレ休憩に充てていた皆さん、すみません!

最後にもうひとつだけグラフを紹介させてください。ご覧いただいてきた通り、マッチメイキングの改善とは長期的な試行錯誤の繰り返しであり、そのプロセスに終わりはありません。以下に示すのは、2015年から2018年までの1月の同時期5日間(おおよそ、各シーズンのスタート時期)における対戦待ち時間を比較したグラフです。

対戦待ち時間(全サーバー、2015年~2018年の1月)

2015年初頭: 対戦待ち時間は悪くありませんが、最長では約12分以上になっています。
2016年初頭: 導入直後、ポジション選択機能は効率を大幅に押し下げていました。このため、一部の高スキル帯プレイヤーは1ゲームプレイするために26分以上待ち続ける必要がありました。酷い状況です。
2017年初頭: どこでもオプション導入に加えて細かい修正をいくつか入れたことで、対戦待ち時間は2015年の水準まで戻っています。
2018年初頭: 2017年を通じて行ってきた試行錯誤とバグ修正、そして設定調整が結実し、現在のところリーグ・オブ・レジェンドのマッチメイキングは最も健全な状態にあります。


まとめると、マッチメイキングが完璧でないことは十分承知しているものの、最近はマッチメイキングのフェアさが保たれ、以前よりも希望ポジションに行けることが増え、ゲーム開始までにかかる時間も短縮されました。では…次の目標は?

2018年以降の計画

2018年は、いくつかクレイジーなアイデアを実現できないか検討しています。開発段階はそれぞれ大きく異なり、「たぶん実装する」レベルのものから「機能するかどうか全然わからない」レベルのものまで様々です。以下では、そのいくつかを紹介してみます。

超高速キュー?

今あるアイデアのひとつに、「他の要因を犠牲にすることなく、対戦待ち時間を20~30秒にすることは可能か?」というものがあります。もしかしたら不可能かもしれませんが、まだ確証はありません。これについては、少しでも可能性がないか探ってみるつもりです。

初心者とスマーフのMMR

現在、プレイヤーの正確なレーティングを今よりも高速に算出する新アルゴリズムを開発中で、既に何度かテストも実施しています。また、新アルゴリズムは結果的にスマーフアカウントが適切なランクに上がるまでにかかる時間を短縮してくれるでしょう。テストを実施するときにお知らせしますね。おそらく想定通りの結果が得られると思います。

ポジションに関する考察

あらゆる問題を解決してくれる魔法のようなゲームデザインは存在しません。しかし、現在のシステムが抱える課題の一つに「LoLはどのポジションに行こうと、結局己のスキルが限界近くまで試されるゲームである」という点があります。そもそも厳しいゲームであるのに、そのうえ不慣れなポジションでのプレイを強いられるのは大変ですし、「どこでもオプション」が発動した場合などはさらに大変です。そこで現在私たちは、(バグを量産することなく!)これらの問題を解決する別のアプローチがないか模索しています。本件についてはまだブレインストーミングの段階なので、皆さんから意見を聞くには絶好のタイミングです。いいアイデアがあれば、ぜひ教えてください。


本記事は、マッチメイキングの最新状況をお伝えする3部シリーズの第3弾です。他の記事については以下を参照してください。

パート1:マッチメイキング – Riot Gamesサポートが2018年のリーグ・オブ・レジェンドにおけるマッチメイキングの仕組みを説明した記事。 

パート2:/dev: マッチメイキングの真実マッチメイキングに関する骨太な質問に回答していく記事。まことしやかにささやかれてきた都市伝説もいくつか解決しているかもしれません。 

パート 3:/dev: マッチメイキング改善の取り組み(この記事です!) – 過去数年にわたりチームが取り組んできた改善処置の舞台裏を少しお見せします。

次の記事

/dev diary: スキンの現状とこれから