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/dev: マッチメイキングの真実

なぜボロ勝ちやボロ負けが起こるのか?ノーマル戦でダイヤモンドの人と当たってしまう理由は?連勝すると厳しい試合を組まれる?

Ask Riotには、試合においてチームメイトや対戦相手がどのように決まるのかについて、数多くの質問が届きます。そこで今回はよく寄せられる質問をいくつか集めて、マッチメイキング、チャンピオン選択、ポジション選択といった関連要素を担当するゲームデザイナーに直接ぶつけてみたいと思います。


なんでバランスがおかしいと感じる試合があるの?

リーグ・オブ・レジェンドで試合のバランスがおかしいと感じる理由は、たいていスノーボール、マッチメイキングの不透明感、心理的な印象の3種類に分類できます。

ゲームデザインの側面から見た場合、途中で築いた小さなアドバンテージを勝利へとつなげていく「スノーボール」要素は勝因の一つとして存在していて欲しい、と考えています。スノーボールにつながる小さなアドバンテージを積み重ね、それが結果的に勝敗を決める場合もあるでしょう。序盤に相手のパンテオンがダブルキルを挙げたら、集団戦で奇跡的に勝たない限り止められないような気分にもなります。しかしたとえ敗北の間際にあっても、購入アイテムの選び方や戦略的判断によっては逆転の可能性があるものです。

実際、システム上では大抵のチームの予測勝率は約50%(プラスマイナス1%)であり、データ上は公平な試合が組めていると考えています。しかしもちろん、このデータだけに頼ることはできません。普段プレイしないチャンピオンやポジションをプレイしたら?ノーマル戦のプリメイドでメンバー間のMMR(マッチメイキングレート)に大きな差がある場合は?試合数が足りず正しいレーティングを算出できていない場合は?(スマーフさん、あなたのことです)そして何よりも、マッチメイキング時にプレイヤーの個人的な事情を考慮することはできません。睡眠不足や、Graggy Ice(オラフアニキが飲んでるアレです)の飲み過ぎとか、そういうことですね。

そして勝ち負けについては心理的印象という要因があります。徹底的に負かされた時の鬱憤は、相手を圧倒した時の楽しさよりもずっと強い感情ですし、残念ながらすごく良い思い出よりも、とことん悪い思い出のほうが記憶には残ってしまうものですから。

そしてときには、単純に「酷い試合」も起こるものです。

もちろん私たちも、マッチメイキングシステムが完璧になることはないと理解しています。20分で圧勝/惨敗する試合が起きてしまうこともあるでしょう。しかしそれでも、私たちとしては試合が始まる前の段階で、バランスを崩す要因はできる限り減らす努力を続けていきたいと考えています。そしてこれは、リーグ・オブ・レジェンドの競技性を維持する上で極めて優先度の高い課題だと考えています。

— Riot Gortok、ゲームデザイナー、ゲットインゲームチーム

なんで連勝を続けてて「さあランクを上げていくぞ!という時にかぎって弱いチームメイトが来るの?

これはほぼ、都市伝説と言ってしまっても良いと思います。

LoLのMMRシステムには、マッチメイキング時にスキルの低いチームメイトや絶望的なほどスキルの高い対戦相手を割り当てる要素は存在していません。どの試合も、両チームに50%(プラスマイナス1%)の確率でネクサスを破壊する可能性があるものと想定しています。

ただプレイヤーのMMRが上昇するにしたがい、そのプレイヤーは少しずつ「突出した」存在ではなくなっていき、同時にチームメイトのスキルも上がっていきます。これは誰でもそうなのですが、結果としてそのスキル帯に来たばかりのプレイヤーと一緒になると、「弱い」チームメイトという印象が残ってしまいます。

また降格猶予や昇格戦ヘルパーなどの仕組みがあるのは、たまたま不運が重なってチームメイトに落胆するような試合が続いたとしても、わずか数試合の「引きの悪さ」のせいですべてが決まってしまわないようにするためです。私たちとしては、これはランクシステムを安定させるための適切なトレードオフだと考えています。降格は心理的にキツいことですし、新たなティアへの昇格はあなたがそのレベルでプレイできることの確かな証であるべきですから。

— Riot Gortok、ゲームデザイナー、ゲットインゲームチーム

なんでノーマル戦でに高ランクのプレイヤーが来るの?

実はMMRはマッチタイプごとに独立しています。このためランク戦のMMRが高いプレイヤーであっても、ノーマル戦のMMRは低いということもあり得るわけです。

私たちとしては、ランク戦はこのまま「全力で勝ちに行く場所」という位置付けであるべきだと考えています。一方でランク戦以外のマッチタイプは、ランク戦よりも競技性の少ない環境でゲームを楽しんだり、実験的な試みをしたりする場所であるべきだと考えます。そしてMMRがマッチタイプ別に存在しているのは、MMRを共有してしまうと各マッチタイプの競技的意図が変わってしまうためです。

たとえばランク戦のMMRが高いプレイヤーをノーマル戦でも高いスキル帯でマッチングするようにしたら、どのマッチタイプで遊んでも「ランク戦の心構え」でプレイするプレッシャーが生じてくるでしょう。何よりノーマル戦は、よりリラックスした環境で実験的なプレイも試せる場にしたいという意図もあります。いつもはランク戦で真剣にプレイしている人が、時々ノーマル戦で友達とワイワイ遊んだり変な戦略を試したりすれば、そのプレイは通常よりも低いレベルになりますよね。

とはいえ、この部分については改善の余地もあると考えています。現在さまざまな選択肢を検討中ですが、アルゴリズムを改良してより短い時間でより正確なMMRを算出できるようにすることや、ランク戦のMMRを少しだけノーマル戦のMMRに加味する(もちろん同じMMRを共有するわけではありません)ことなどを考えています。

— Riot Socrates、ゲームデザイナー、メタゲームシステムチーム

自分はブロンズシルバーゴールドなんだけど、なんでランク無しのプレイヤーとマッチングされるの?

初めてランク戦に参加するプレイヤーにはまず振り分け戦を戦ってもらい、システムはその結果から力量を測定しています。ここで振り分け精度を高めるには、力量を把握するための情報が十分に揃っているプレイヤーとマッチングさせる必要があります。そしてプレイヤーの大半はシルバー~ブロンズ帯に属しているため、振り分け戦はシルバーからスタートし、そこから成績に応じてランク帯を上下させていく手法を取ることが多いのです。

— Riot Gortok、ゲームデザイナー、ゲットインゲームチーム 

なんでブロック/ミュート/報告した後もそのプレイヤーとマッチングするの?

端的に言うと…そうしなければマッチメイキングの仕組みが完全に崩壊してしまうためです。

たとえば、あなたが韓国サーバーでチャレンジャーになったとしましょう(おめでとうございます!)。そしてミッドで対面にFakerが来て、あなたはボコボコにされ、あまつさえその動画が大手サイトのトップページで「今週の珍プレイ」として大々的にフィーチャーされることになったとします。そして次回ソロキューでFakerと再戦することになったあなたは、衝動的に「このプレイヤーとマッチングしない」ボタンをクリックしたとしましょう。さて、1週間で同じことをした人があと100人いたとしたら?

こうなるとマッチメイキングを開始しても、あなたのMMR帯からずっと外れたプレイヤーまで探さなければ人数が揃いません。あなたが待つ時間は長くなり、しかも継続的に「本来よりも弱いチーム」で戦うことになります。プレイヤー同士が磁石の同極同士のように反発し続けてしまうわけです。つまりこの機能を実装すると、それほど多くないプレイヤーがこういったシステムの悪用をするだけでフェアなマッチングがほぼ不可能になってしまうのです。

— Riot Draggles、コミュニケーションストラテジスト、メタゲームシステムチーム

なんでElo / MMRシステムの代わりにKDAとかそういう成績データを使わないの?

リーグ・オブ・レジェンドはチームゲームで、勝利も敗北もチームで分かち合うものです。プレイヤーの成績に基づいて評価するシステムを押し付けることはしたくありません。なぜなら、そのシステムではおそらくチームの勝利に貢献するよりも自分の成績のためにプレイしたほうが効率よくレーティングを上げられてしまうからです。

私たちは「一見些細なプレイに見えるけれど、最終的にはチームを勝利につながる」ような良いプレイを奨励したいのです。相棒ADCを救うために自らを犠牲にするサポート、集団戦で3人の敵をゾーニングするタンク、敵陣奥深くに切り込んで敵キャリーを仕留めるアサシン。そういったプレイは華々しい数字には繋がらないでしょう。しかしチームの勝利に貢献します。また独自のプレイスタイルを備えた一部のチャンピオンたち(シンジド、ヌヌ)は数字だけでは計測できない部分があり、そんな彼らをメインチャンピオンとするプレイヤーの力量も適切に測定できなくなってしまいます。

ひとくちに勝利への貢献や試合への影響力といってもその種類はさまざまです。そしてどんな種類のものであれ、讃えられるべきものです。私たちはずっと、KDAや勝率には必ずしも反映されない「良いプレイ」を可視化する新システムの可能性を探っています(視界スコアや一風変わったミッションなどがそれです)。それから、今後はポジションごとのマスタリーを表す方法も実装したいと思っています。この他、「プレイヤーの成長を表現する方法」についてご意見があればぜひ聞かせてください!

— Riot Gortok、ゲームデザイナー、ゲットインゲームチーム

なんで自分のMMRは見えないの?

これについてはリーグシステム(LoLのマッチメイキングシステム)の初回リリース時(もう5年も前だ!)でもお話しましたが、改めて要点をまとめると「LoLのようなチームゲームでMMRを可視化することにはマイナス面での影響が非常に大きいから」です(リンク先英語ページ)。

MMRはサーバー全体におけるプレイヤーの相対的な位置を高精度で示すデータなので、可視化すれば試合開始前に相手をチェックすることでマッチングがフェアなものかどうかを確認できるというプラスの面もあります。

しかしMMRをリーグ・オブ・レジェンド唯一の達成指標にするということは、全プレイヤー中50%のMMRはシーズンを通じて下がっていくということであり、彼らが「犠牲」になるということを意味します。しかしMMRは下がるものの、基本的にはその彼らも上達はしているので(周囲の人も上達していく、というだけ)、数値が下がっていくというのはフラストレーションが溜まります。

他方、ランク戦におけるティアはプレイヤーの進歩や現状を把握する上で分かりやすい目印として機能します。「1650 MMRのプレイヤー」や「サーバーで120,353位のプレイヤー」よりも「ゴールドプレイヤー」と言われたほうが、次の目標を明確に立てやすいでしょうし、MMRが1595から1600に上がりました!と言われるよりも、シルバーIからゴールドVに昇格しました、と言われたほうがより上達を実感できます。

また、リーグシステムには何度か連敗してMMRが急落した時の救済措置も備わっています。降格猶予や昇格戦ヘルパーは、たとえば希望ポジションに行けない試合が連続したり、スランプ中だったりといった稀なケースにおいてプレイヤーを保護するしくみです。ランク戦で感じる不安は強くプレッシャーも大きいものです。ティアのように上達をこまかく実感できる仕組みは、ランク戦を戦い続けることの壁を低くするための施策でもあります。

— Riot Gortok、ゲームデザイナー、ゲットインゲームチーム

マスターチャレンジャーなんだけど、どうもMMRが落ちていってる気がする。LPがいい感じに上がる日があったかと思えば、翌日は全然上がらなかったりする。これ何が起きてるの?

LPの増加/減少量もあなたの推定力量と、競合プレイヤーたちの推定力量とを比較して算出されます。これが最も顕著になるのが、該当プレイヤー数が少なく継続的な順位争いが発生するマスター/チャレンジャーティアです。あなたがプレイするのを少しやめても周囲のプレイヤーのMMRは変動を続けているため、結果的に戻ってきた時の獲得LP量が著しく変化するのです。

たとえばあなたがチャレンジャーに昇格し、LPを保持するために10日分の「試合貯金」をし、休暇に出かけたとします。これなら当然、休暇中もあなたのMMRとLPに変動はありません。しかし他のチャレンジャー(およびマスターと高ディビジョンのダイヤモンド)プレイヤーたちはゲームをプレイし続けています。この結果、ランクシステムでは上位プレイヤーの平均MMRが徐々に上昇していきます(一般的にそういう傾向があります)。やがて休暇から戻ったあなた。MMRは当然休暇前と同じ状態です。しかし周囲の競合相手のMMRは休暇前よりも上がっています。結果としてあなたのMMRは同ランキング帯の平均を少し下回る状態になるため、勝利時の獲得LPは減少し、敗北時の減少LPは増加してしまうのです。ただLP変動量は、何回か試合に勝利すれば通常の値に戻ります。

— RiotIAmWalrus、ゲームデザイナー、コンペティティブチーム


結構技術的な話に踏み込んでしまいましたが、この記事がリーグ・オブ・レジェンドのマッチメイキングの仕組みをいくらかでも説明できていれば幸いです。質問やシステムの改善要望などがあれば、ぜひコメントで教えてください!

なお本記事は、マッチメイキングの最新状況をお伝えする3部シリーズの第2弾です。他の記事については以下を参照してください。

第1弾:マッチメイキング – Riot Gamesサポートが2018年のリーグ・オブ・レジェンドにおけるマッチメイキングの仕組みを説明した記事。

第2弾:/dev: マッチメイキングの真実 マッチメイキングに関する骨太な質問に回答していく記事。まことしやかにささやかれてきた都市伝説もいくつか解決しているかもしれません。

第3弾:/dev: Making Matchmaking Better(近日リリース予定) – 過去数年にわたりチームが取り組んできた改善作業の舞台裏を少しお見せします。

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